癌と生活習慣・治療

癌(ガン)細胞ができ、増殖し転移するしくみ

pic_g004_r

あるきっかけで、癌(ガン)細胞が爆発的に増殖してしまう

癌(ガン)は細胞のDNAが傷つくことで発生するとされています。

DNAが傷つく原因は過剰な活性酸素であったり、発ガン物質、偏った食生活、あるいは強度のストレスであったりもするのですが、通常、DNAが傷ついた細胞は、体内の免疫機能によって排除されてしまいます。

ところが、この免疫機能の網の目をかい潜った1個の細胞が分裂し、増殖することでガンになってしまうのです。

もともと人間の細胞のなかには「ガン遺伝子」と呼ばれる遺伝子が存在しています。

つまり、人間は生まれながらにして誰でもガンになり得るのです。

そして、このガン遺伝子の活動を抑制するために存在しているのが、「ガン抑制遺伝子」で、通常はこのガン抑制遺伝子が強い影響力を持っているために、細胞はガン化しません。

しかし、何らかの原因でDNAが傷つき、ガン遺伝子が活性化してガン抑制遺伝子がその影響力を弱めると、1個の細胞がガン化してしまうのです。

つまり、細胞がガンになる「きっかけ」で、できたことになります。

突然変異によってガン細胞と化してしまった1個の細胞は、ある特徴を備えています。

それはテロメラーゼという酵素が大量に含まれているために、爆発的な増殖を続けてしまうというものです。

細胞分裂を繰り返すためには2種類の核酸が必要ですが、それがDNA(デオキシリボ核酸)、RNA(リボ核酸)です。

これらを構成するのが、ヌクレオチドと呼ばれる、有機塩基とリン酸、糖がひとつずつ結合した化合物で、これが連鎖状に結合して高分子化したものをヌクレオチド配列といいます。

このヌクレオチド配列の末尾にテロメアと呼ばれる物質があり、通常は細胞分裂を繰り返すたびに短くなっていきます。

つまり1個の細胞に寿命があると同時に、細胞再生システムそのものに寿命があるのです。

テロメアが消費されてしまえば、新たな細胞分裂ができないため、人体細胞はテロメアを大事に使おうとします。

ところがガン化した細胞は、テロメアを専門に修復するテロメラーゼという酵素を大量に含んでいるために、テロメアがふんだんに供給されて、爆発的な細胞分裂を続けてしまうのです。

一方、DNAが傷ついた細胞を一度は見逃してしまった免疫機能も、再度のパトロールで、これを発見すると破壊・駆除してしまいますが、ガン細胞は1日に3000~6000個も生み出されているといわれています。

免疫の監視システムによって、それを破壊・駆除しても、こっそりと逃れて生き続けるガン細胞が残ってしまうのです。

また、加齢や何らかの原因によって免疫力が低下している場合、その環境はガンが増殖する温床となってしまいます。

免疫細胞がガン細胞の近くにまで到達しても、それをガン細胞と認識できない、さらにはガン細胞によって逆に破壊されてしまうこともあるのです。

ガンが血流に乗って全身に転移することで、治療を難しくする

体内で発生したガン細胞は増殖を続けて大きな塊(腫瘍)になります。

そうなると、腫瘍はさらに成長するために新鮮な酸素と栄養を取り込もうとするのです。

これが、ガンの血管新生で、腫瘍は近くの動脈にVEGF(血管内皮細胞増殖因子)という信号を送ります。

VEGFを受信すると白血球が遊走を開始し、同時にMMP(マトリクスメタロプロテアーゼ)と呼ばれるタンパク質分解酵素が活性化し、動脈の外皮(基底膜)を破壊。

そこから動脈の内皮細胞が増殖して信号源である腫瘍(しゅよう)にまで到達するのです。

事実、摘出された腫瘍を見てみると、びっしりと毛細血管状の新しい血管が引き込まれていることがわかります。

こうして腫瘍は新鮮な酸素と栄養を取り込むと同時に、分裂したガン細胞が血流に乗って全身に運ばれていくのです。

ガンが原発部(最初に発生した部位)で留まっている間は、それほど深刻ではなく、ガン細胞を摘出してしまえば完治も難しいものではありません。

ところが、1度血流に乗って全身を駆け巡るようになると、いつ、どこで新たなガンが発症するのかは予測できないため、このことがガンの治療を難しくしているのです。

こうした遠隔転移のほか、浸潤と呼ばれる現象もガンには多く見られます。

「喉頭ガンを発見したら、浸潤した食道ガンを疑え」といわれるように、原発部から周囲の臓器や器官に、染み込むように広がっていくことも少なくありません。

女性の場合、子宮や卵管、卵巣、腔、直腸、膀胱などは近接しているため、子宮ガンと診断されて開腹してみると、周囲の臓器に転移していたという症例も多く見られます。

開腹時に見つからなくても、術後3ヵ月や半年後の検査で転移や浸潤が確認できたということもあり、ガンとの闘いは、さながらイタチごっこのような消耗戦となってしまうことも数多く見受けられるのです。

-癌と生活習慣・治療