メシマコブ

メシマコブとは

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メシマコブとはどんなキノコか

抗ガン食品として注目を集めるキノコ類。

なかでも、最近人気が高いキノコがメシマコブです。

長崎県・男女群島の女島に生息し、主に桑などの広葉樹の古木に寄生し、その形が瘤(こぶ)状であることから命名されたと言われています。

メシマコブの学名はタバコウロコタケ科キコブタケ属メシマコブ(Phellinus LinteusAoshima)。

学名なので大変長い名前ですが、あえて漢字で書けば「女島瘤」。

コブとつくのでコンブの仲間だと考える人もいますが、そうではありません。

はじめは瘤状ですが、成長するにしたがってグローブを広げたような形になり、幹に生えている姿はちょうどサルノコシカケのようです。

形だけでなく固く渇いた質感もサルノコシカケに似ています。

メシマコブは、日本では本州以南の地域、世界では中国、フィリピン、ベトナム、北アメリカ、オーストラリアなど広域に分布しています。

しかし生息条件が限られているため、その地域ならどこにでも生えているというものではありません。

寄生する桑も20年を超えた老木が多く、大変珍しいキノコであることは確かです。

またメシマコブは、寄生すると宿主の木から根こそぎ栄養を吸収して枯らしてしまうことから、養蚕の盛んだった昔は見つけ次第刈り取られていました。

そのため自然に生息するメシマコブは、いっそう希少な存在になってしまったのです。

命名の由来である女島でも、今は果たして採集できるかどうか不明です。

また女島を含む男女群島全体が天然記念物として指定されていて、許可なしでは採集はもちろん、上陸もできません。

それでもこの希少なキノコ、それも名前の由来となった天然自然のメシマコブを求めて、多くの製薬メーカーがこの地を訪れているようです。

メシマコブの薬効については、東洋医学の本場である中国で太古の昔からよく知られていました。

中国では桑黄と呼ばれ、漢方薬の材料です。

紀元1~2世紀に編纂された最古の薬学書『神農本草経』にも桑黄の名前が登場しますし、『本草網目』『中薬大事典』『東洋医学大辞典』などの東洋医学書にも、慢性病の薬として紹介されています。

薬効は利尿作用や婦人病の改善などです。

(ただし桑黄とは桑の本に生えるキノコ類の総称であり、厳密に言えばメシマコブを特定したものではないという説もあります。)

腫瘍阻止率96.7パーセントという驚異の実験成果

キノコの抗ガン作用は今でこそ広く知られています。

キノコは「ガン予防にいい」「免疫力を高める」と、多くの人が認知しています。

前述のように東洋医学でも、キノコはガンに限らずさまざまな病気に効果があることが知られてきました。

しかし現代の医学研究の対象になったのは、それほど昔のことではありません。

キノコの抗腫瘍効果が一躍有名になったのは1968年、国立がんセンターで行われた研究が発端です。

これはサルコーマー80という腹水ガンの細胞をマウスに移植し、十数種類のキノコのエキスを投与し、5週間後ガンがどう変化するかを調べた実験です。

実験対象となったのは十数種類のキノコ。

コフキサルノコシカケ、カワラタケ、カイガラタケ、ペッコウタケ、そしてメシマコブといった珍しいキノコのガンに対する効果が調べられました。

その中で、ダントツの抗腫瘍効果を示したのがメシマコブ。エキスを投与して5週間後、ガン細胞の増殖を96.7パーセントまで阻止。

これは他のキノコをはるかにしのぐ成績だったのです。

この結果は、日本の多くの研究者に衝撃を与えました。

キノコがガンに効くらしいとは言われていたものの、実際に抗腫瘍効果が実証されたのは初めてでした。

また、これまで全く無名だったメシマコブが、漢方薬として知られる多くの薬用キノコよりはるかに抗ガン作用があることがわかったのです。

この研究結果に触発され、その後さまざまなキノコの抗腫瘍効果を調べる実験が、各地で行われるようになりました。

いずれキノコから抗ガン剤が作れないかと多くの研究者たちが考えたと思われます。

韓国が先陣を切ったメシマコブの医薬品化

日本が世界に先駆けて行ったキノコの抗腫瘍実験でしたが、残念ながらそれが抗ガン剤開発に結びつくことはありませんでした。

メシマコブは人工栽培が難しく、生息地域が限定されているため採集も難しかったためだと言われています。

医薬品化となれば研究開発には莫大なコストがかかります。

認可され医療現場で使われるまでには10年以上の時間が必要です。

しかし素材であるメシマコブが安定的に確保できないとなると研究開発は困難です。

結果医薬品メーカーも研究機関も二の足をふみ、やがてメシマコブは忘れられて行きます。

メシマコブというキノコの希少性が、日本における医薬品化を阻んでしまったのです。

ところがこのメシマコブの医薬品化に注目した国があります。

お隣の韓国です。

韓国は1980年代から急速に経済成長しました。

それは重工業中心の産業構造を先進国型に転換すべく邁進している時期でもありました。

医薬品の開発、バイオテクノロジーなどは、韓国にとって力を注ぐにふさわしい分野だったのです。

また韓国でもガン制圧は重要課題でしたから、国を挙げてのメシマコブの医薬品化に取り組んだのです。

国家予算が投じられ、国立の生命工学研究所、ソウル大学、忠南大学、製薬メーカーなど産官学が合同で研究を続け、ついにメシマコブはガンの医薬品として認可を受けます。

1993年のことでした。

こうしてついにメシマコブは、お隣の韓国で、ガンの医薬品となりました。

そして医療現場でガンの免疫療法剤として使われています。

しかし医薬品化こそされませんでしたが、日本でもメシマコブ研究は地道に続けられました。

メシマコブの強力な抗ガン作用を何とか利用しようと、心ある研究者たちの試行錯誤が続いたのです。

やがてメシマコブの栽培も可能になり、加工処理ができるようになったのです。

メシマコブの何がガンに効くのか?

キノコは、地球上の生物の中でも大変ユニークな性質を持っています。

ご存じのように、キノコはほとんどノンカロリーといっていいほど熱量が低く、お腹いっぱい食べても活動のためのエネルギーにはなりません。

また血や肉になるタンパク質もあまり含まれておらず、われわれの身体にとって必要不可欠な食品にはとても見えません。

ところがキノコは、昔から大変珍重されてきた食品でもあります。

現代のように、人工的に食料が生産される以前、つまり狩猟や採集が中心の食生活だった太古の昔には、キノコは自然の恵みとして重要な食品でした。

それは人類が、キノコにはエネルギーやたんぱく質とは全く別の、特殊な栄養成分があると漠然とわかっていたからだろうと考えられています。

キノコの持つ特殊な栄養成分とは、生体調節機能や恒常性維持機能、つまり生きていくためのバランスをとる物質です。

取り過ぎたもの、不要なもの、害毒となるものを排泄したり、代謝したりする、言いかえれば免疫機能を助ける物質です。

大変有益ではあっても、正体がつかみにくい微妙で複雑な物質。

なるほどキノコとは確かにそのような物質であるとうなずけます。

それでは、生体調節機能、恒常性維持機能、つまり免疫機能を高める物質とは何か。

その答えはキノコに含まれる「糖」であろうと推測されていました。

砂糖や果糖などの仲間である、おなじみの「糖」です。

ただしキノコの「糖」は、エネルギーの豊富な砂糖や果糖とは少々異なります。

砂糖や果糖は、単糖といって分子が1つの単純な構造の糖です。

ところがキノコに含まれる糖とは、高分子多糖体といって、非常に微細な単糖がびっしりと複雑に結びついた構造をしています。

この高分子多糖体こそ、キノコが他の食品と一線を画す、特殊な栄養成分なのです。

メシマコブに含まれる最強の抗ガン成分「タンパク複合体」

キノコに含まれる特殊な栄養成分・高分子多糖体は、免疫機能を高め、ガンをはじめとする病気の予防や改善に重要な役割を果たします。

エネルギーにも血にも肉にもなりませんが、健康の維持にとってきわめて重要な物質です。

そして高分子多糖体には、よく調べてみるとたくさんの種類があり、それぞれが異なったはたらきを持っていることがわかってきました。

キノコの高分子多糖体の中で最も有名なのが「β‐グルカン」です。

一世を風扉したアガリクスには、この「β‐グルカン」が豊富に含まれ、それゆえに抗ガン作用が強いと言われていました。

メシマコブにも、もちろん「β‐グルカン」が豊富に含まれています。

そして他にも「α‐グルカン」「酸性ヘテログルカン」「キシログルカン」「核酸」などがバランスよく奪まれています。

これらが免疫細胞全体を活性化するために、ガンによって弱体化した免疫力が高まって抗ガン作用が復活するのではないかと考えられます。

また高分子多糖体は、単に量が多ければいいわけではなく、含有比率やどんな物質と結びついているかによっても、免疫活性が大きく変わります。

メシマコブの高分子多糖体は、結合したその末端にタンパク質をつかんでいる「タンパク複合体」が多いのが特徴です。マンノース、ガラクトース、グルコースなどがそれで、結合の結果、分子量が大きくなっています。

単に分子量が大きいだけだと、吸収性が悪くなりそうですが、タンパク質と結びついていることが逆に吸収性を高めるというメリットになっているのです。

この「糖」と「タンパク質」が結びついた「タンパク複合体」こそ、高分子多糖体の中でも最強の抗ガン成分なのではないかと言われています。

免疫細胞はどうやってガン細胞を撃退するのか

メシマコブに含まれている強力な抗ガン成分とは、前述のように「β‐グルカン」などの高分子多糖体、そしてそれがたんぱく質と結びついている「タンパク複合体」などです。これらの物質をひっくるめて仮にメシマコブの有効成分と呼ぶことにしましょう。

ではこれらの有効成分が、われわれの体内ではどのように活躍してくれるのでしょう。

メシマコブがガンに効く、といっても、メシマコブの有効成分が直接ガン細胞を攻撃する、例えば抗ガン剤のように殺すのではありません。

メシマコブの有効成分は、われわれの免疫機構を刺激し活性化して、ガン細胞を撃退するのです。

あくまで間接的に、いわば援軍としてのはたらきをしているのです。

その代表的なはたらきをご説明しましょう。

まず第一に、われわれの体内にも、ガンを攻撃し撃退するシステムが備わっています。

ご存じ免疫システムであり、代表的なのは血液の中の白血球、それもリンパ球といわれる免疫細胞です。

免疫細胞にはマクロファージやリンパ球のT細胞、キラー細胞、NK細胞、B細胞などがあり、これらが一丸となって敵を撃退すべく働いています。

敵とはウイルスや細菌などですが、他にもガンのような内部で発生した敵も含まれています。

たとえばマクロファージという細胞は、血液内をパトロールしながら異物を次々と食べています。

もしガン細胞に出くわすと、マクロファージはそれもパクリと食べてしまうわけです。

そして自分が食べたものが何であったかを、免疫細胞の監督であるヘルパーT細胞に伝えます。

ヘルパーT細胞はマクロファージからもらった情報をもとに、それが敵かどうかを判断します。

敵とみなすとキラー細胞に攻撃の指令を出し、ガン細胞をやっつけようとします。

このようにしてガン細胞も、常に免疫機構の監視を受け、時には免疫細胞に攻撃されて死滅することもあります。

NK細胞がガンの自然死を誘導する

またガンに対抗する強力な細胞にNK細胞があります。

NK細胞とはナチュラルキラー細胞のことで、まさにガン細胞を殺すために存在しているような免疫細胞です。

NK細胞のユニークなところは、免疫細胞連携システムとは少々異なり、単独で行動するという点です。

自らガン細胞を発見し、自ら攻撃してこれを死にいたらしめる。

一匹狼の殺し屋、免疫機構の用心棒。それがNK細胞なのです。

NK細胞がガン細胞を攻撃するさまは最近、電子顕微鏡写真で撮影されるようになり、ガンの研究書などで見ることができるようになりました。

NK細胞は体内でガン細胞を発見すると、すばやく接近してパーフォリンという粒子を打ち込みます。

うまく命中するとガン細胞にはポッカリと穴が空いて死滅します。

しかしこれだけでは安心できません。

ガン細胞の中身にはガンの遺伝子が入っているので、この遺伝子が他の健康な細胞に接触すると、その細胞がガン化してしまうおそれがあるためです。

そこでNK細胞は、グランザイムという酵素を放出して、ガン遺伝子の鎖を粉々に溶解してしまうというのです。

遺伝子の鎖が切れてしまえばガン化の情報は伝達されず、増殖も転移も不可能な状態になります。

これだけでもすごいのですが、NK細胞のはたらきはまだあります。

それはNK細胞の持つfasという細胞壊死因子。

fasはガン細胞内のカスパーゼという酵素を活性化し、ガンの細胞死のひきがねをひくのです。

カスパーゼとはタンパク質分解酵素。

別名自殺酵素などとも呼ばれ、ハサミで紙を切るようにガン内部のタンパク質も切り刻むと言われています。

ガン細胞はそもそも、この細胞の自然死(細胞の自殺=アポトーシス)のしくみが壊れた状態であり、妨害されない限り無限に増殖を繰り返します。

状態がよければ永久に生き続けると言われています。

しかし内部のカスパーゼが活性化することで、眠れる自然死のスイッチがおされて自滅するのです。

NK細胞はストレスでどんどん弱体化してしまう

NK細胞さえ頑丈であれば、われわれは決してガンになることはないでしょう。

たとえわずかなガン細胞が発生しても、NK細胞がそれを阻止してくれるからです。

しかしNK細胞は、強力である反面、非常にデリケートな性質を持っています。

ストレスに弱く、さまざまな原因で力を失ってしまうのです。

例えば加齢。

年をとるとNK細胞の力はどんどん落ちていきます。

NK細胞が最も元気なのは20歳くらい。

その後はどんどん力を失い、60歳では半分にまで落ち込むことがわかっています。

このことは「年をとると免疫力が落ちて病気になりやすい」ことを意味しているわけです。

また日常的なストレス、例えば働き過ぎや悩み事、疲労、けが、病気などでも力を失います。

われわれの体調や精神状態で、NK細胞は大きく変動するのです。

このあたりも「ストレスがガン発症のひきがね」という説を裏付けているようです。

ストレスをなくし、気力体力が充実していれば、NK細胞は元気に活動し、われわれをガンから守ってくれます。

前述のガン細胞を殺すNK細胞の例をひくと、ガンが強大になればNK細胞が弱体化するのも事実です。

NK細胞がガン細胞を殺すことも観察されていますが、逆にガン細胞がNK細胞を食い殺す様子も観察されています。

増殖し巨大化するガン細胞をいかにくい止めるかがNK細胞の使命だと言っていいでしょう。

したがってガンにならないためには、あるいはガンになってもこれを制圧するには、いかにしてNK細胞を活性化するかがポイントです。

そこに本書でとりあげたメシマコブの価値があることは言うまでもありません。

メシマコブの有効成分は、このデリケートなNK細胞の活性を高めるはたらきがあることがわかっています。

特にガンのストレスで弱ってしまったNK細胞の活性を、数週間で正常値まで高めることが実証されているのです。

このはたらきは、他の薬用キノコとは比較にならないほど強力です。

NK細胞の活性化は、メシマコブの最大の効果です。

免疫機構全体をパワーアップするメシマコブ

メシマコブの有効成分の話に戻りましょう。

有効成分の中で、メシマコブの抗ガン作用のカギをにぎる物質が高分子多糖体であることは、すでに述べました。

高分子多等体の中の「β‐グルカン」や「タンパク複合体」などが免疫細胞を活性化し、NK細胞をはじめとする免疫細胞全体を活性化し、ガン細胞への攻撃を強めてくれるのです。

すでにおわかりでしょうが、メシマコブの有効成分は、それ自体がガン細胞を攻撃するのではありません。

ガン細胞と闘うのはあくまで免疫細胞。それを強化する援軍がメシマコブの高分子多糖体なのです。

メシマコブの有効成分は無毒で無害。

それだけを抽出しても何かを攻撃するような激烈な物質ではありません。

メシマコブがどれだけ体内に入っても安全で安心なのは、そうした性質によります。

メシマコブの有効成分によって強化され、活発にはたらき出した免疫細胞は、NK細胞を筆頭にガン細胞への攻撃力を高めます。

NK細胞だけでなく、免疫細胞の最前線にいて異物と闘うマクロファージも、ヘルパーT細胞の指令を受けて闘うキラーT細胞もガン細胞への攻撃力を高めます。

またB細胞も、特定したガン細胞に対する抗体を作って攻撃します。

ガン細胞は、これら免疫細胞の攻撃を巧みに交わし、時に反撃しながら増殖していきます。

そして免疫細胞もまた、ガン細胞の攻撃や増殖を阻止すべく奮闘する、と両者の闘いは延々と続きます。

ガン細胞VS免疫細胞。この熾烈な闘いにおいて、免疫細胞に勝利をおさめてもらうためには、免疫細胞の援軍であるメシマコブの有効成分がものを言うのです。

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